鉱山ダム決壊で東京ドーム10個分の尾鉱流出
2019-01-29


ブラジル南東部ミナス・ジェライス州の町、ブルマヂーニョで25日、同国の資源開発大手ヴァーレ社が所有する鉱山のダムが決壊し、そこから流れ出た有害物質を含んだ大量の泥流が近隣の民家などを飲み込見ました。同社のファビオ・シュヴァルツマンCEOによれば、「ダムの決壊によって1200万立方メートル(東京ドーム約9.7個分)もの尾鉱(びこう、品位の高い鉱物を取り出した後に残った不要物)が流出した」と語っています。

 28日の報道によると、これまでに近隣住民や同社の従業員など60人の死亡が確認され、行方不明者が292人に上っています。消防隊、27日夜に同州入りしたイスラエル軍兵士による懸命の救出・捜索活動が続いており、死亡者はさらに増える見込みです。

 ミナス・ジェライス州内では2015年にもヴァーレ社が関係する鉱山のダムが決壊していますが、今回は2015年の4倍、5000万立方メートルもの尾鉱が流出しています。尾鉱は激しい泥流となって近隣の町を襲い、自然環境に大きな影響を与えています。

 ラケル・ドッジ検事総長は28日、今回のダム決壊による環境被害および、刑事上、民事上、行政上の責任を調べるため、ミナス・ジェライス州内において連邦検察庁のタスクフォースを編成したと語りました。検事総長は「ダムの管理責任者である幹部は(ダム決壊事故の)責任を負うことになり、会社幹部も罰せられる可能性がある」と述べ、ヴァーレ社幹部の責任を追及する構えです。

 ミナス・ジェライス州政府と検察当局の要請により、同州の裁判所は26日までに、被害を受けた自然環境の回復並びに被害者らに対する損害賠償の資金を確保するため、ヴァーレ社の資金110億レアル(約3300億円)を凍結すると決定しています。また、今回のダム決壊でヴァーレ社は、ブラジル環境・再生可能天然資源院から2億5000万レアル(約75億円)、ミナス・ジェライス州政府から9900万レアル(約29億円)の罰金を科されました。

 ミナス・ジェライス州軍警察によると、この事故に乗じて利益を得ようとする「不逞の輩」が暗躍し、募金集めに動いています。ダム決壊被害者への義援金と偽ってインターネット上で義援金を募るもので、市民に注意を呼びかけています。同署では、公式な義捐金の口座は、連邦貯蓄銀行に28日開設されたものだけとしています。

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